繁華街の雑踏と轟音も、図書館のような無音も、等しく東京ファッションの重要なBGMである。相反する環境音に対して、服がどのように応答しレイヤーを形成するのか。我々は「聴覚に響く日本スタイル」というテーマで、異なる音環境下での装いを比較検証した。
例えば、爆音の音楽が鳴り響くライブハウスでは、ボディラインを強調するタイトなレザーやラメ素材が優勢となる。視覚だけでなく触覚的な振動さえもスタイルに取り込もうとする感覚だ。大音量の中でこそ、自己の存在を消さないための攻めた東京ファッションが際立つ。
対照的に、外苑前の美術館や静謐なカフェといったスペースでは、摩擦音さえもデザインの一部となる。シルクとウールが擦れるかすかな音や、フローリングに響く革靴のノイズまでも計算されたマナー。ここでの日本スタイルは無音を邪魔しない素材選びにこそ神経が行き届いている。
聴覚を意識したレイヤードの最たる例が、金属製のアクセサリーの使い方だ。重厚なシルバーチェーンは動くたびに独特の音を立て、静かな空間では強烈な存在感を放つ。音を「着る」という発想が、平面的なコーディネートに立体的な奥行きを与えている。これは最先端の東京ファッションにおける、一種のパフォーマンスアートとも言える。
素材の「聴こえ方」を実験するブランドも増えている。高周波で溶着されたシームレスなアウターは、腕を動かしても一切の摩擦音がしない。一方で、麻や紙糸を用いた日本スタイルのシャツは、さらさらとした独自の音を立て、着る人に涼しさを知覚させる。服はもはや視覚と触覚だけでなく、聴覚も含めた総合芸術へ進化しているのだ。
Sync Prism Nodeは、街全体をひとつの巨大なコンサートホールと考えている。スクランブル交差点のホワイトノイズと、地下道の湿った反響音。その音響特性に対して、どのテキスタイルで応答するかが、これからの東京ファッションの鍵となるだろう。
今日から少しだけ、自分の服が立てる音に意識を向けてみてはどうだろう。さざめきのような微かなノイズが、思いがけない快感を産み出すかもしれない。音を制するスタイルが、次の時代の日本スタイルを作り出すのだ。
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